現代剣道を斬る of 埼玉県春日部市尚武館道場

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現代剣道を斬る

 
現在の日本剣道には、<稽古>・<試合>・<段位審査>を一貫する合理性と普遍的な技術評価の基準が見えない。即ち、存在していないのである。

試合のための稽古、段級審査のための稽古、稽古のための稽古、これ等は全て似て非なるものである。試合と審査の技術的評価基準が同じならば、実践上の問題はないが、厳密に言えば、試合での強さを求めるならば、<真正の剣道>を棄てなければならない、段級審査に於いて真正の剣道を指導すれば、<競技の剣道>をあきらめさせる事になるのである。

技術の評価基準が異なる事は、剣道そのものの技術目標が明確ではない事を意味している。その結果、剣道の稽古が<試合のための稽古><審査の為の稽古>更に<稽古のための稽古>に分裂させられているのである。

故に、本気で剣道をさせる枠組みが無いのである。ある時は試合の強さを評価し、ある時は段位の高低や品位を持ち出し、ある時は稽古の志を語る。・・と言ったようになるのである。

これ等の事は、剣道の本質であるべき、普遍的価値と文化的価値が、剣道を行う者達の共有認識にも、自己実現の統一目標にもなっていない事を意味しているのである。

せいぜい試合に勝つ為の<小手先的剣道>か、審査に合格する為の<儀礼的剣道>かという矮小化された選択肢の中で没主体的となり、非武道的価値観しか生み出せない結果となる。

剣道その様な剣道をどうして子供達に教え、世界に広めてゆく事ができるだろうか、なぜ、芸術家や科学者の様に一心不乱な姿勢を持って創造的世界を夢見る事ができないのか、剣道界の問題としても、これからの剣道を考える者にとっては避けて通る事の出来ない問題である。

それは、初心者から高段者まで、全ての剣道を行う者達の日常生活、稽古、試合、段級審査という場での剣道の意味と価値観を根本から問う事になるであろう。

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