燃え尽き症候群について of 埼玉県春日部市尚武館道場

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燃え尽き症候群・ご存知ですか??

 
武道に於いて、空手道では「空手に先手なし」といい、弓道では「射法と礼法」、合気道では「和の心」、柔道では「柔よく剛を制す」、そして、竹刀剣道では「先を取れ」と教え、これを指導原理としている。

技を通して言行の合理と不合理、道理と無理、善行と非行を学ぶ事を根底に置き、これによって共存共栄の社会実現を目指すとしたのである。

厳しい稽古に耐える積極的な姿勢は、日常生活と人生を有意義に送る上で生かされる。
道場で、様々な年齢の仲間と出会う為に、礼儀や協調性と社会性が育成され、武道精神に則り行動する習慣から、公明正大な態度が養われると、信じられてきた。

剣道少年ところがである、近年【スポーツ少年団活動】の過熱化により、まだ剣道の本当の楽しさを知らない小学生や、才能を充分に伸ばしきっていない青少年の間に【燃え尽き症候群】の兆候が見受けられるのである。

`燃え尽き`という言葉は、元来、社会人が高度の肉体的・精神的緊張を強いられ、長時間の労働により活動エネルギーが減少し、目標や理想を失い心身ともにすり減らしてしまった状態を現したものである。

即ち、長時間の稽古が心身に負荷をかけると共に、休日返上で試合を消化する為、心に強い緊張感を強いて、無気力化を発生させているのである。

集団の中での競い合いと競争への不安、代表選手にならなければ意味が無い、と指導者に洗脳され、観念づけられるがゆえに、代表に選出されなかった時には非常なショックを受ける。

病気や故障に対する不安は、多少の痛みや体調の悪さを我慢して練習を続けなければ、レギュラーから外されるので、病気や故障をひたすら隠し通し、最悪の事態を招く事もある。

毎週の如く繰り返される試合成績の発表が、どれだけ子供達に不安を与えているか知らなければならないであろう。

小学生の場合、体の鍛錬と心の修養が基本になくてはならない、試合重視での稽古は人間性を軽視し、弱者をのけ者にし、勝ち組、負け組みの言葉を生み出している。

小学生に試合重視の稽古をなぜ、させてはいけないかは、指導に携わるほとんどの先生方が認識しているはずである。

にもかかわらず、スポーツ少年団活動に於いての剣道と言えば、試合に於いての勝利至上主義が中心となり、わが子の勝利の瞬間を待ち望む保護者の期待にこたえて、指導者達は勝つ為だけの練習を子供達に強いているのである。

学校教育に於いての学習面では、小学生と中学生で大きな違いがありながら、剣道では同一的に扱っている部分が多すぎる。それはとりもなおさず、燃え尽き症候群を誘発して落伍者を生む要因にもなりかねないほどである。

長い目で見た時、それは、害こそあれ、益するところはない。古来、木は三丈,人は十年、と言って木も人も、約十年間は基礎を作る時間であると言われている。故に、時間は充分にあるのだから、子供達には、剣道の基礎をしっかり作る事が何より大切であろう。

剣道少年剣道は、主として相手の動作と呼応して、攻撃したり防御したりすることによって、楽しさや、喜びを味わう事のできる心身の運動である。基本動作や対人的技能を身に付け。更にその技能を練磨して更に上位の相手と練習ができるようになると、一層の楽しさが理解できるようになり、魅力が増幅されてくる。

古来、稽古は形から、と言われているように、形の修練なくして剣道の基本動作は到底身に付くものではない、小手先の業に終始すれば、試合には勝てるかもしれないが、人生を小手先で乗り切る事には無理がある。

わが子が、仮病を使って稽古を休もうとした時は要注意である。これは、小中学校しかり、塾がよいしかり、である。この信号を見落とした時が、【燃え尽き症候群】の始まりである。

確かなる愛情を持って、優しく子供達を見守り、正しい人生を送る事ができるようにしなければならない、勝利至上主義は敗者の大量生産を生み出し、理想と現実の狭間で無気力な青少年を育てる結果にならないと言い切れるであろうか、剣道の指導者達にはよくよく考えていただきたいと願って止まない。

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